2025/02/06 11:08

ウブド王宮のバリダンスは、毎晩19時半スタート。

夕方になると、そこかしこで「ダンスどう?チケットどう?」と売り子たちが声をかけてきます。

チケット代はだいたい10万ルピア。誰から買っても大差なさそうなんやけど、

なんとなく、入口近くの“それっぽいおっちゃん”から買うと安心感がある。

別にルールがあるわけじゃないのに、「ここで買うもんやろ」って思ってまう。不思議やなあ。

会場は自由席。早く行けば、ええ席座れるスタイル。

意気揚々と1時間前に入場してみたら、すでにちらほら席取りされてて「ぐぬぬ…」。

それでも、目の前にガムランの楽器がずらりと並ぶ特等席を確保!




「勝った!」と自分に言い聞かせる。

……が、その目の前の“地べたエリア”に、スッ……と誰かが無言で座り込む。

おいおい、そこ座ってええんかーーーい!?ずっちーやろ!

──って心の中でツッコむけど、周りは誰も気にしてない様子。

どうやらここは、「早い者勝ち・地べたフリースタイル」がバリ流らしい。



なんやこのラフさ。逆に好き。

開演直前には満席ギッチギチ。空気も熱気もムンムン。

そして、19時半きっかりに開幕!

約1時間半、濃密なバリの伝統舞踊にどっぷり浸かる。

踊りも音楽も衣装も、どこか懐かしくて、心の奥がじんわり温かくなる。

「なんか知らんけど、泣きそう…」ってなる。不思議な時間。

ただ、個人的に大好きな“バロンとハヌマーンの掛け合い”は見られず。

この日は「レゴンダンス」だったらしく、演目は日替わり。

バロンは水曜か金曜らしい。う〜ん、惜しい!


さて、今バリは「ガルンガン」前の準備期間。

ガルンガンとは、祖先の霊が帰ってくるお祭りで、日本で言えば“お盆+ハロウィン”みたいな行事。

バリ独自の暦(ウク暦)では、210日に一度やってくるらしく、今回は3日後(8/3)が本番。

昨日サヌールで見かけた、メイドインアビスのベラフみたいな「ペンジョール」も、その準備の一環。

そんな文化背景も知らないまま、「夜ご飯どこで食べよかな〜」と歩いていたら、どこからか笛と太鼓の音!

「おお、なんかの行列きたー!」と近づいてみたら、



バロンっぽい後ろ姿がスッ…と通り過ぎていく。

その後も何体かすれ違ったけど、なぜか最後に見たのが……



豚。


昨日も今日もバビグリン(豚の丸焼き)三昧やったから、さすがにもうええわ。

むしろ今は、口が完全に「牛」モード。

というわけで、Googleマップで「ビーフステーキ」検索!

ワイ「営業中やん!いける!

店「閉まってま〜す」




……おいGoogle、希望持たすな。こっちは口が“ウシ”なんじゃ。

結局、営業中ってなってたのは1軒だけ。

あとはどこも遠すぎて現実的じゃない。

「もうええわ、今夜は何も食わん……」と、ひもじい気持ちでトボトボ歩く。

そんなとき、ふと目に入ったのが「コピ・ルアク」の看板。



「いや、飲みもんやし……セーフやろ」

そう自分に言い聞かせながら、吸い寄せられるように店内へ。

コピ=コーヒー、ルアク=ジャコウネコ。

つまり、あの“高級うんこ珈琲”である。

インドネシアが発祥で、オランダ植民地時代の農民たちがジャコウネコの糞から拾った豆を焙煎した…という、ちょっと切ない起源のある飲み物。

本物の“ワイルド・コピルアク”は今でも超希少。

手に入れるにはドラゴンボール2〜3個分の努力が必要らしい。

でも、ここで出会ったのはたぶん「そうじゃない方」。でもええねん、チャレンジ!

店員さんはロン毛にメガネの文学青年っぽい兄ちゃん。

「コピ・ルアクひとつください」と伝えると、「これ10万ルピアするけど大丈夫?」とやさしく確認してくれる。

うっ……言い返せず、「OK…」と頷く。

その場で豆を挽いて、丁寧にドリップしてくれて──熱々をテイクアウト。

ドキドキしながらひと口……

……美味しい!うん、これは美味しい!

ただ、毎朝ドリップしてる素人の自分的には……

10万ルピア分の感動があるかというと、正直、微妙!

いや、美味しいんやけどね!?ほんまに!

で、その帰り道。

ホテルへ戻る途中で見つけたジェラート屋さん。

  

「……食べもんやけど、アイスは…うん、ギリセーフ!」

店内は静かで落ち着いた空間。



ショーケースの前で「ストロベリー・チョコ・ヘーゼルナッツ」の“安パイ三兄弟”を選ぶ。



外に出て、ちびちび食べながら歩いていると、韓国人カップルに「ワオ!めっちゃええやん!」と話しかけられる。

お店の場所を教えると、めっちゃ喜んでくれて……なんか、自分まで嬉しくなる。不思議。


ホテルに戻って3階の部屋へ。

天井を見上げると──ヤモリがうようよ。

階段の最後で「サササッ!」と接近されて、思わず変な声が出る。

でも、不思議と怖くはない。

ああ、バリの夜やなぁって思う。


シャワー浴びて、歯磨いて、ライトダウンを布団にして寝る。

旅の夜って、なんでこう…ちょっと切なくて、ちょっとあったかいんやろな。

明日も、ええ日になりますように。