2025/01/21 14:01
「旅にトラブルはつきもの」とはよく言ったもので、一昨日は脱水症状、昨日は車に轢かれて、そして今日は予約したはずのホテルがない。
…決して順風満帆とは言えない、1ヶ月のバリ島ひとり旅。
しかもこの先には、もっと最悪な出来事が待ち構えているなんて、この時の僕は知る由もない。
それはまた別の機会にお話させていただくとして──
とにかくこの瞬間、僕は「もうさいあくぅ」とか言って地べたにへたり込みそうになりながらも、大きなリュックサックが邪魔でお尻が浮いたままの「くの字」状態でバタバタしているという、なかなかの醜態を晒すわけにもいかず、まずは目の前の問題をなんとかしなければならなかった。
「腹が減っては戦はできぬ」とも言うしね。
ウブドに来たらまず最初に行こうと決めていた店がある。
それが──イブオカのバビグリン。
「バリ島 バビグリン」で検索すれば、真っ先に出てくる超有名店。
開店は午前11時。現在午後1時。売り切れてたら、それこそ「もうさいあくぅ」なので、小走りでイブオカへ向かう。
店に着くと、行列こそできていないものの、店内はほぼ満席。
なんとか空いていた1席に座り、愛想ゼロのスタッフに促されてメニューを見る。
迷わず “Nasi Babi Guling” を注文!
「エヌ!ビー!ジー!エス!エヌ!ビー!ジー!エス!」と心の中で連呼しながらビンタンビールをグビグビして待つこと数分、ついにやって来ました、マイ・エヌビージーエス!
正直、写真で見るとあんまり美味しそうに見えない。
というか実物もそんなに…おいしそうには…見えない。
チャーシュー風の豚肉、バリ風せんべいみたいなカリカリの皮、箸休めっぽい葉っぱの炒め物。
いざ、実食!

で、肝心の味はというと──
うまく表現できそうにないので割愛するけど、
一口目を食べた瞬間に「イブオカ 味変わった」「イブオカ 経営者変わった」と検索したくらいの感じ、って言えば伝わるだろうか。
とはいえ、お腹は満たされた。
店内も少し空いてきたところで、もう1本ビールを追加して、スマホを取り出し再びエクスペディアでホテル探し。
ことわざシリーズ第3弾、「背に腹はかえられない」。
少し距離はあるし、中心地からも外れてるし、今朝チェックインできなかったホテルより高いけど、25万ルピアで1部屋空いているっぽいので即予約。
ビールを一気に飲み干し、歩き出す。
──が、ここで問題発生。
エクスペディアの地図、分かりにくい。
ホテルの看板、小さい上に謎の場所にある。
迷いに迷い、ようやくそれっぽい建物を発見。
中で掃除してた女性スタッフに「エクスペディアで予約した者ですが」と声をかけると──
仰け反りながら「マァム!?マァ〜ム!!」と叫び始める。
召喚された小柄でふくよかな“マァム”、優しい笑顔で登場。
「いらっしゃい、予約してくれたのね」
ここはその場で現金払いのスタイル。
25万ルピアを手渡すと、マァムが聞いてくる。
「ウブドには何日滞在するつもりだい?」
「2、3日ですかねぇ」と曖昧に答えると、マァムはニッコリ微笑んでこう言った。
「じゃあ、明日からは1泊20万ルピアにしとくよ。あんただけ特別だから、内緒だよ(ウインク)」
「テリマカシ!」と手を合わせて拝む僕。
「部屋は1号室。この階段を上がって3階にあるからね。鍵はドアに刺さってるから使って」
よっしゃとばかりに3階まで登るも──
鍵、刺さってない。
部屋、開かない。
汗をかきながら再び階段を降りて、スタッフに伝えると、「ソーリー」とはにかみながら鍵を持って案内してくれた。
部屋は、清潔。
ちゃんと掃除されていて、ベッドもシーツもきれい。
ああ、よかった。

シャワーとトイレはユニット式。湯船はなし。
ちょっと下水くさいけど──まぁ、もう慣れてきた。
1泊25万ルピアはちょっと高いなと思っていたけど、20万にしてくれるなら文句なし。
ウブドには何泊かするつもりだったし、しばらくここに落ち着くことにした。
さて、ようやく落ち着いたぞ。
──と思いたいところだけど、もちろんこの旅、まだまだ続くのであります。